Interview

GOOD 4 NOTHING 『KISS THE WORLD』インタビュー

80~90年代を彩った同世代女性シンガーたちの名曲に、“いち歌い手”として正面から挑んだ異色作『GIRLS’ROCK』。奇想天外なアイディアに秘められた閣下の狙い、収穫とは何だったのか?

(text 森チロ)

作品紹介

『GIRLS’ROCK』
初回限定生産盤 AVCD-23086/B ¥3,990(税込)
通常盤 AVCD-23087 ¥3,150(税込)
1/24発売
着うた® 他

作り込んだアートに向かう自分と、いちシンガーとしての自分を、今回ははっきり区別したね。

“全編ガールズ・ロックのカバー”という企画の大胆さに驚かされましたが、一聴してみて、実に真摯なボーカル・アルバム、という印象を受けました。
「そもそもこれは、ただ過去の曲をハード・ロック調にアレンジして、ミス・マッチ感やバカバカしさを楽しもうとして作ったわけではない。オリジナルのシンガーたちに対する敬意が失われてはいけないと思ってやったのでね。彼女たちとは全員、一緒に仕事をしたことがあるし、どんな感じの人かも知ってるから。恥ずかしくないものを作ろうという意識は当然あった」
プロデュースを務めたアンダース・リドホルムは、スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンド、“グランド・イリュージョン”の中心人物だった方ですね。
「この人選に“今回は北欧ハードで行こう”なんていう意図はないんだ。原曲に対する予備知識や思い入れがない海外プロデューサーに楽曲を委ねた方が面白いんじゃないかという発想でいろいろ聴いていくうちに、アンダースのテイスト、センスがピンときたんであってね。グランド・イリュージョンのサウンドは骨太ではあるけどポップだから、最初からゴリゴリのハード・ロック一辺倒にならないとわかってたし、そうするつもりもまったくなかった」
アレンジの妙は随所で発揮されていますが、中でも一際ドラマティックなのが「Raspberry Dream」ですね。
「あの曲は新しい発見だった。雰囲気をガラッと変えてああいうアレンジにしてきたのはアンダースのセンスで、なるほどこういう捉え方があるのかと驚かされたし、それまでクローズ・アップされていなかったあの曲の暗さや悲しさが物凄く強調されているから、これがアルバムの意義において大きな部分を占める曲になる、というのも同時に感じたな」
こうしたポップな楽曲、女性の心情を綴った歌詞を歌ってみた感触はいかがでした?
デーモン小暮閣下『GIRLS’ROCK』リリース・インタビュー 「ポップな曲を歌う機会が今まで多くはなかったけど、吾輩の声質とか歌の特色は、むしろポップスに向いてるんじゃないかというのは随分前から気づいていたんだ。吾輩はたまたまヘヴィ・メタル・バンドで世に出たので、とことんそちら寄りのシンガーと思われているフシがあるけども、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを歌わせたら自分より巧い人は世の中にゴロゴロいるしね。
 本作で最も気を遣ったのは、すべて女心を歌っているという点に尽きる。難しさを感じたのは「Return to Myself」等の詞の内容でね。ビデオ・クリップもこの曲で撮ったんだけど…この姿かたちで、”新しい恋を見つけたの”という内容の歌なわけだ(笑)。カメラに向かってどんな顔をして歌ったらいいんだろう?って最初は戸惑ったね」


コマーシャルな活動と並行して、純邦楽演奏家たちとの共演など、ご自身のライフワークも継続されていますよね。こうしたアートとは対照的に、“いちシンガー”に徹したアルバムという意味でも、本作は興味深いと思うのですが。

「作り込んだアートに向かう自分と、いちシンガーとしての自分を、今回ははっきり区別したね。制作を他人に委ねて、いちシンガーに徹するというのは、それはそれでやり甲斐のある作業だった。楽曲がすでに存在しているから、無責任でいられた部分もあるしね。スタジオで歌詞を手直しして時間がかかったり、なんていう苦労もないわけだから。そういったことから解放されて、ある意味大胆にやれたアルバムだと思う」

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