Review/レビュー

『007 カジノ・ロワイヤル』

イギリス人作家イアン・フレミングが生んだ“ジェームズ・ボンド”。お馴染のテーマ曲とオープニング・シークエンスで始まるこのシリーズの最新作『007 カジノ・ロワイヤル』は、若き“007”の最初の任務を描いている。そして、6代目ジェームズ・ボンドに任命されたのが若手俳優ダニエル・クレイグ。

日本での知名度が低いものの、英国らしいクラシックな雰囲気をちょっぴり残しつつ、粗野で軟派な感じが滲み出ている彼は意外に新作でいい味を出している。

というか、007の始まりは1960年代からなのに、バリバリ携帯電話とか最新兵器も使われているので、まっ、“008の映画かな?”て思ってもいいくらい。とはいえ、本国イギリスを納得させるために、冒頭から「ホラ! クレイグでも大丈夫だろっ!」ばりに、監督・マーティン・キャンベルが見せ場をてんこ盛りに。かなりコレで楽しめます。

そもそもボンドは海軍から情報部に入り、情報収集というより破壊工作の阻止が主な任務。英国の植民地的エキゾチズムと東西冷戦の気配を漂わせた超人映画から始まり、それが時代の移り変わりもあり、現代では超人性も薄れてボンドの人間的な部分に焦点が移ってきた(それゆえに持ち味がなくなり、ファン層が薄くなっていったのだと思うけど…)。

しかも、そんなボンドさん。持ち前の性的な魅力で女子からモテモテ。ですから、基本的に007はモテモテとアクションが見所のロマンチック・アクション映画なわけですよ。が、しかし!! 一代目のショーン・コネリーの印象があまりにも強かった! 当時の女性の話を聞けば、「そりゃー、アンタ! ショーン・コネリーの顔が映れば、女性たちのため息が聞こえたんだから!」とまぁ、それくらいに女性を惹きつけ、はたまた男の夢と化したわけです。

この一代目があまりにも“超人的”だったゆえ、その後のボンドたちにとって茨の道となってしまったのですが、強いて言えば、今回のクレイグはリセットの感あり。現代の若者が新たなファンとなってくれることを祈りたいですなっ! ショーユ顔過ぎがたまに傷ですが…。

で、名前のメジャー度に比べて日本の興行がいまいちの007。意外に見どころあるんだってばぁ~。

それは、悪者たちのアクの強さ。今回は●●拷問とか血の涙を出しちゃったりと、ツッコミどころ満載。(マスコミ試写では、けっこー笑いが出てた)。でっ、近々代々の悪者キャラの特徴をまとめますので、お楽しみに!

最後に映画が好きな方なら、アレって思う、ピーター・セラーズ(←ピンク・パンサーの人)主演の『007 カジノ・ロワイヤル』(1967)。ほとんどシカト状態ですが、実は原作は同じでこちらの作品は大パロディ映画に仕上げています。個人的な意見ですが、『ナバロンの嵐』(1961)の原作者アリステア・マクリーンが「本気で書いた処女作を除いては映画化を描いて狙って書いている」と言っているとおり、イギリス人作家は意外にビジネスライク(日本人作家はどうなんでしょう?)。中身は別とはいえ、こっちの“カジノ・ロワイヤル”にはこういったビジネスライクな業界への批判も込められているのではないのではないでしょうか?

私としては、ピーターの007も好きなんですけどね…。

007 カジノ・ロワイヤル
配給:SPE
監督:マーティン・キャンベル
出演:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーンほか
2006/イギリス・チェコ・ドイツ・アメリカ/144min./カラー
12月 1日~サロンパスルーブルほか全国にて公開

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